花火写真の撮り方講座〜第3章 撮影場所の選定と下調べ〜
花火系散歩屋のおーわ(@mof_mof08)です。
花火の写真を撮影するにあたって必要になる知識やテクニックについて、全9章の講座形式で紹介していく本シリーズ。
第3章では撮影場所の選定と下調べについて、具体的な進め方やポイントをざっくりと紹介していきます。
写真の完成度にも関わってくる部分ですので、ぜひ押さえていただければ幸いです。
花火写真における撮影場所の選び方
さて、花火写真の撮影における場所の選び方ですが、特に花火をメインの被写体に据える場合は以下の5点がポイントとなってきます。
- 写真を通じて伝えたいことを再確認する
- 撮影場所で三脚が利用可能かどうかを確認する
- 打ち上げ場所に対して極力正面となる場所を選ぶ
- 花火を遮るものがない場所を選ぶ
- 風向きに合わせて複数の候補を用意する
特に打ち上げ場所からの位置関係と風向きは綺麗な花火写真を撮影するにあたって重要なポイントとなってきますので、しっかりと押さえていきましょう。
写真を通じて伝えたいことを再確認する
花火写真の撮影場所を選ぶにあたり、写真を通じて伝えたいことを再確認しておきましょう。
花火写真の撮り方講座〜第1章 撮影における基本を知ろう〜で触れていますが、花火写真の撮影における基本は伝えることにあります。
例えば「花火の美しさを伝えたい」と「花火のある景色の美しさを伝えたい」という目的では、選ぶべき撮影場所が大きく変わってきます。
撮影場所を選ぶにあたって軸となってきますので、じっくりと検討していきましょう。
撮影場所で三脚が利用可能かどうかを確認する
2つ目のポイントとして、撮影を予定している場所において三脚が利用可能かどうか確認するという点が挙げられます。
花火写真の撮り方講座〜第2章 撮影に必要な機材を揃えよう〜でも記しましたが、花火写真を撮影するにあたっては三脚がマストアイテムとなります。
しかしながら安全確保などの観点から、メイン会場の観覧席の中には三脚の利用に一定の制限が設けられていたり、はたまた禁止されている場合があります。
一方で会場外から撮影する場合についてはメイン会場のような規定は基本的にありませんが、人や車両の通行の妨げにならないことが大前提となります。
行った先で三脚が使用できない(または適していない)といった事態を防ぐためにも、利用可否については事前にしっかりと確認しておきましょう。
打ち上げ場所に対して極力正面となる場所を選ぶ
花火写真を綺麗に撮影するにあたって確実に押さえておきたいポイントの一つとして、打ち上げ場所に対して極力正面となる場所を選ぶことが挙げられます。
巷では花火はどこから見ても同じだと言われていますが、実際にはどこから見ても同じに見えるわけではありません。
特に対打ちや幅のあるスターマインは場所によって見え方が大きく変わり、写真の完成度にも大きく影響してきます。
以下の写真は同じ花火大会で打ち上がった幅のあるスターマインですが、正面に近いところから撮影した場合と真横に近いところから撮影した場合でぜんぜん違うのが見て取れるかと思います。
特に対打ちや幅のあるスターマインを綺麗に撮りたいのであれば、打ち上げ場所の中央付近での撮影を強くオススメいたします。
花火を遮るモノがない場所を選ぶ
花火を遮るモノ(樹木、建築物)の有無についても、撮影場所を選ぶポイントになります。
花火を綺麗に撮影するためには、撮影者と打ち上げ場所の間に障壁となるモノがないことが望ましいといえます。
以下は障壁がない状態で撮影した写真とある状態で撮影した写真になりますが、前者の方が花火の魅力がより伝わりやすいかと思います。
特に花火をメインの被写体として据えるかつ全景を収めたいという場合は、全体が綺麗に見えるかどうかについてあらかじめ確認するようにしましょう。
花火大会の実施環境によっては、打ち上げ場所の手前に避けられないオブジェクトが存在する場合があります。
風向きに合わせて複数の候補を用意する
可能であれば、風向きに合わせて複数の候補を用意しておきましょう。
花火をより良い状態で楽しむためのポイントとして風向きと風の強さが挙げられますが、これは撮影をする場合においても大きく影響してきます。
特に風下(向かい風)から撮影した場合、花火が煙まみれとなってしまうなんてことも…。
当日の風向きがどうなるかは正直なところ予測が難しいため、事前に複数の候補を立てておくのがオススメです。
会場のレイアウトやアクセスする交通手段などにより、複数の候補が選定しにくい場合もあります。
花火写真の撮影における下調べのポイント
撮影場所を検討するのと併せて、以下の4点についても把握しておきましょう。
- 撮影場所から打ち上げ場所までの距離を計測する
- 花火の規模(打ち上げ幅および最大号数)を把握する
- 事前に撮影予定場所へ足を運ぶ
- 過去の動画を確認する
上記は写真のイメージや構図、適切な焦点距離を把握する上で重要になってきますので、事前に調べておくことをオススメいたします。
なお、具体的な焦点距離の算出方法については以下の記事も参考にしていただければと思います。
撮影場所から打ち上げ場所までの距離を計測する
まずは撮影予定場所から打ち上げ場所までの距離を計測しておきましょう。
そもそもなぜ撮影場所から打ち上げ場所までの距離を把握している必要があるかというお話ですが、これは適正な焦点距離を割り出すために必要な要素になるというのが理由です。
写真撮影において適正な焦点距離を割り出すにあたっては、以下の3つの情報が必要になってきます。
- 撮影者から被写体までの距離
- 被写体の幅
- 被写体の高さ
その一つの要素として撮影者から被写体の距離、すなわち撮影予定場所から打ち上げ場所までの距離が必要になるというわけです。
撮影場所から打ち上げ場所までの距離はスマートフォンの地図アプリなどで大まかに計測することができますので、ぜひ活用していただければと思います。
花火の規模(打ち上げ幅および最大号数)を把握する
続いて、撮影を予定している花火の規模(打ち上げ幅および最大号数)について把握しておきましょう。
打ち上げ幅と最大号数を把握していく必要がある理由として、以下の2点が挙げられます。
- 必要となる焦点距離の計算
- 構図の決定
先述でも触れたように、焦点距離を計算するにあたっては花火の高さ(最高到達点)と打ち上げ幅の情報が必要になります。
また、構図を縦にするか横にするか決める際のポイントにもなってきます。(詳しくは花火写真の撮り方講座〜第5章 構図を決めよう〜を参照)
花火の規模については各大会によってまちまちなため、公式サイトや本ブログの花火撮影ガイドなどで確認していただければと思います。
事前に撮影予定場所へ足を運ぶ
可能であれば、事前に撮影を予定している場所へ足を運んでおきましょう。
映画やドラマを制作する際、作品のイメージを深めることを目的にロケーションハンティング(ロケハン)が行われますが、花火写真の撮影においても重要になってきます。
ロケハンをするにあたっては、以下の3点を中心に見ておくとよろしいかなと思います。
- 撮影場所の様子
- 障壁の有無
- 花火打ち上げ場所
可能であれば現地へ赴くのがオススメですが、撮影場所が遠方などという理由で現地への訪問が難しい場合は、Googleマップなどを活用して簡易的なロケハンをするのも手です。
過去の動画を確認する
過去に行われた同じ花火大会の動画を見ることも有効な下調べとなります。
先述でも触れていますが、花火写真の撮影にあたっては事前のイメージがあるかどうかで撮影を優位に進められるか否かが変わってきます。
幸い、花火大会は前年と似たような内容で行われることも多いため、過去に開催された同じ大会を動画で振り返ることで、その花火大会がどのようなものかをイメージすることができます。
特に初見の花火大会を撮影されるという方は、動画サイトなどを通じてどのような花火大会なのかを把握した上で撮影に挑むことをオススメいたします。(名の知れた花火大会についてはたいてい出てくるかと思います)
少々マニアックな話になりますが、花火大会によっては打ち上げを担当する煙火店さんが入れ替わることがあり、その場合は過去の大会から雰囲気がガラリと変わります。
撮影予定の花火大会で担当する煙火店さんが変更となった場合は過去の動画に加え、新たに担当となる煙火店さんが過去に担当した別の花火大会の動画も見ておくと良いでしょう。
まとめ
本記事では花火写真を撮影するにあたって重要となる場所選びと下調べのポイントについて紹介してまいりました。
改めてざっくりまとめると以下の通りとなります。
- 写真を通じて伝えたいことをベースに場所選定を行う
- 撮影に適した環境かどうかを確認する(三脚の利用可否、打ち上げ場所との位置関係など)
- 風向きに応じて複数のプランを用意する(可能であれば)
- 撮影場所から打ち上げ場所までの距離や花火の規模を把握しておく
- 撮影予定地ををロケハンする(可能であれば)
僕の経験則になりますが、場所選びと下調べで花火写真の完成度が6〜7割ぐらい決まってきますので、しっかりと下調べを行なっていただくことをオススメいたします。
第4章では基本的なカメラの設定について解説していきます。
>> 花火写真の撮り方講座〜第4章 基本的なカメラの設定を把握しよう〜