スマートフォンで花火写真が綺麗に撮れないのはなぜ?その理由をざっくり解説
花火系散歩屋のおーわ(@mof_mof08)です。
人は美しい花火に出会った際、無意識領域の中でスマートフォン(スマホ)のカメラを使って写真に残したいと考えてしまうものです。
ところがいざ撮影してみると「めちゃくちゃ難しい」「イメージしていた絵面と違いすぎる」と絶望に打ちひしがれた方が、僕の他にも3名ぐらいはいらっしゃるかと思います。
いったいなぜスマホのカメラで花火写真が綺麗に撮影できないのか、綺麗に残すための方法はあるのか…本記事ではそんな疑問についてまとめてみました。
スマートフォンで花火写真を綺麗に撮れない理由
スマホカメラで花火写真を綺麗に撮影できない理由をざっくりまとめると、以下の2点となります。
- バルブ撮影に対応していない
- 絞りが大きすぎる(F値が小さすぎる)
早い話が、スマホのカメラが花火写真の撮影に適した仕様になっていないのです。
花火写真の撮影におすすめなカメラについては以下の記事をご覧ください。
バルブ撮影に対応していない
一つ目の課題として、シャッタースピードをバルブ(Bulb)に設定できない点が挙げられます。
詳しくは花火写真の撮り方講座〜第4章 カメラの設定〜で解説していますが、花火は打ち上げのタイミングと打ち上がってから消えるまでのタイミングがまちまちなため、シャッタースピードをバルブ(Bulb)に設定する必要があります。
2022年3月現在、残念ながらバルブ撮影に対応したスマホカメラは僕が調べた限りでは存在しません。
最近は長時間露光ができる機種も出てきましたが、それでも花火写真の撮影を満足にこなすには至っていないのが実情です。
絞りが大きすぎる(F値が小さすぎる)
二つ目の課題として、絞りが大きすぎる(F値が小さすぎる)点が挙げられます。
花火は非常に明るい被写体のため、一般的に絞りを小さく(F値を大きく)してカメラに入ってくる光を抑えます。
花火の打ち上げ方や種類によって異なりますが、おおよそF4.0〜16の範囲で調整します。(NDフィルターを使用しない場合)
ところがスマホカメラは絞りが大きく、例えばiPhone 13 Proではこんな感じ。
- 望遠:ƒ/2.8絞り値
- 広角:ƒ/1.5絞り値
- 超広角:ƒ/1.8絞り値と120°視野角
この状態で花火のような強い光を秒単位で受けようものなら、いとも簡単に露出オーバー(白飛び)を引き起こしてしまいます。
花火写真の撮影で厄介な露出オーバー(白飛び)を防止する方法で触れていますが、花火の適正露出はおおむねF8.0、ISO100、シャッタースピード5秒程度となります。
詳しい計算は省きますが、iPhone 13 Proの超広角カメラ(F1.8、ISO20)で撮影した場合、おおよそシャッタースピード1秒以上で露出オーバーする計算になります。
ここで勘の良い方であれば絞りを絞れば良いじゃんと思うかもしれませんが、残念ながらスマホカメラは一眼カメラのように絞りを変えられません。
夜景撮影もこなせるようになったスマホですが、残念ながら花火写真の撮影には適していないのが現状なのです。
スマートフォンで花火を綺麗に撮る方法はあるの?
上記のようにスマホカメラでの花火写真の撮影は無理ゲーですが、動画であれば十分に撮影を楽しめます。
動画は写真撮影よりもシャッタースピードが短く(30fpsの場合は1/30秒、60fpsの場合は1/60秒に相当)、スマホカメラの性能でも露出オーバーを引き起こす可能性はかなり低くなります。
以下はiPhone 11 Proを用いて撮影した動画(Full HD、60fps)ですが、花火の様子を伝えるには十分すぎるレベルだと思います。
どんなに語彙力ある人でも、怒涛のごとく踊り狂った花火を見せられたら「エグい」しか言えなくなりますってw#長野えびす講煙火大会 pic.twitter.com/qYhmJWCg6I
— おーわ (@mof_mof08) November 23, 2021
特に近年では時差式発光と呼ばれるイルミネーションのような挙動を取る花火も多く、動画の方が魅力を伝えやすいケースも多々あります。
テレビなどの大画面で動画を再生をしないのであれば十分かと思いますので、ぜひ活用していただければと思います。
まとめ
本記事ではスマホカメラで花火写真が綺麗に撮影できるかについて解説してまいりました。
現状は花火写真の撮影に適した機構が備わっていないため、綺麗に撮影するのは無理ゲーなのが実情です。
ただ、2022年3月時点でSHARP AQUOS R6やSONY Xperia PRO-Iといった高級コンデジに匹敵するイメージセンサーを搭載した機種が登場するなど、その進化は目を見張るものがあります。
もしかすると、スマホカメラで花火写真の撮影ができる時代がそう遠くないうちにやってくるかもしれませんね。
最後までご覧いただき、ありがとうございますm(__)m