花火写真の撮影にハーフNDフィルターってどう?使用時の効果や注意点は?
花火系散歩屋のおーわ(@mof_mof08)です。
花火写真の完成度を高めるためには露出オーバー(白飛び)対策が必要不可欠ですが、その一つにNDフィルターを用いる方法があります。
NDフィルターには大きく構図全体に対して均一に効果がかかる製品と、グラデーション状に効果がかかる製品(ハーフNDフィルター/グラデーションNDフィルター)の二つに分けられます。
後者はよく風景写真の撮影で用いられる傾向にありますが、実は花火の白飛びと副題の黒つぶれを同時かつ効果的に抑えられる優れ物だったりします。
本記事では花火写真の撮影におけるハーフNDフィルターの導入によって得られる効果や注意点についてざっくり解説してまいります。
ハーフNDフィルターとは?
本題に入る前に「そもそもハーフNDフィルターってなんぞや?」という声が多分3名ぐらいから飛んできそうな気がするので、ざっくりと解説いたします。
ハーフNDフィルターはNDフィルターの一種で、その名の通り減光効果がおおよそ半面に施された製品をいいます。
一般的なNDフィルターは構図の全体に減光効果がかかるのに対し、ハーフNDフィルターは構図の一部分にのみ減光効果をかけられるのが特徴として挙げられます。
ハーフNDフィルターを用いることで特定部分の明るさを維持しつつ、光量をカットしたい部分に対して効果的に減光を施せるようになります。
花火写真の撮影にハーフNDフィルターを導入して得られる効果
花火写真の撮影においてハーフNDフィルターを導入して得られる効果として、ざっくり以下の点が挙げられます。
- 花火の白飛びを効果的に抑えられる
- 副題の黒つぶれを抑えられる
構図全体に効果がかかるNDフィルターと比較して、白飛びと黒つぶれを同時にかつ効果的に抑えられるのが特徴です。
花火の白飛びを効果的に抑えられる
一つ目のメリットとして、花火の白飛びを効果的に抑えられる点が挙げられます。
特に物量が多いスターマインは光量が多くなりがちで、中でも小型煙火(地上に近いところから吹き出てくる花火)の光量は特に多くなる傾向にあります。
花火写真を撮影したことがある方はなんとなくご理解いただけるかと思いますが、この小型煙火の部分がとにかく白飛びしやすいのです。
ハーフNDフィルターのうち、特にリバースタイプの製品は小型煙火に対して最も強い減光効果をかけつつ、打ち上げ花火に対しても十分な減光効果をかけることができます。
副題の黒つぶれを抑えられる
二つ目のメリットとして、副題(観覧席や風景など)の黒つぶれを抑制できる点が挙げられます。
花火大会の様子を写真に収める際、観客席や周辺の風景といった副題も一緒に収めると、雰囲気がより伝わりやすくなる場合があります。
しかしながら花火+副題の構図で収めようとした場合、両者には大きな明暗差が生じるため、上手いことバランスを取る必要が出てきますが…
- 花火に露出を合わせると副題が黒つぶれする
- 副題をある程度維持しようとすると花火が白飛びする
という2つの相反するリスクに悩まされます。
ハーフNDフィルターを導入することで花火の光量を効果的に抑えつつ、副題部分の明るさをある程度維持しての撮影が可能になります。
レタッチによって副題の露出を持ち上げられますが、元の光量が足りないものに対して無理矢理に明るさを加えるとノイズが乗りやすくなります。
花火写真の撮影にハーフNDフィルターを導入する際の注意点
一方、花火写真の撮影にハーフNDフィルターを導入する際の注意点として、以下の点が挙げられます。
- 使用できる場面が限定される
- セッティングに繊細さが要求される
- 価格が高い
構図全体に減光効果がかかるタイプの製品と比べて、セッティングのしやすさや価格にやや難があるのがマイナスポイントでしょうか。
使用できる場面が限定される
一つ目の注意点として使用できる場面が限定される点が挙げられます。
前述の写真をご覧いただくと分かりやすいかと思いますが、ハーフNDフィルターの減光効果は直線的に施されています。
そのため、周辺に建屋や樹木などが少ないかつ花火全体がすっきり見えるような環境においては有効に作用します。
一方で建屋や樹木などが複雑に絡み合うような場面で使用すると、不自然な写真になってしまう可能性があります。
ハーフNDフィルターはすべての現場で使えるわけではないことを、頭の片隅に押さえておきましょう。
セッティングに繊細さが要求される
二つ目の注意点として、セッティングに繊細さが要求される点が挙げられます。
前述でも触れましたが、ハーフNDフィルターは減光効果がグラデーション状にかかる特徴があり、それゆえにフィルターの境界部分を境に明暗差が生じます。
特に花火写真の撮影に効果的なハードタイプやリバースタイプのハーフNDフィルターは明暗部の境界がよりくっきりと出るため、セッティングに不備があると違和感のある絵面になってしまいます。
一般的なNDフィルターにはない扱いの難しさがある点には注意が必要です。
価格が高い
ハーフNDフィルターの導入にあたって最もネックになってくるのが価格面です。
花火写真の撮影に用いるハーフNDフィルターは基本的に角形の製品になりますが、通常のNDフィルターが1枚あたり数千円から1万円強で入手できるのに対し、ハーフNDフィルターは1枚あたり2〜3万円程度とかなり高価なのが現状です。
また、角形のハーフNDフィルターを採用する場合は別途ホルダーやアダプタリングが必要になってくるため、それらの導入費用も上乗せされます。
決して安い買い物ではないため、予算や撮影スタイルに応じて導入するかどうかを決めるのがよろしいかと思います。
レンズに直接取り付けるねじ込み式のハーフNDフィルターもありますが、減光効果がかかる位置を調整しにくいため、個人的にはあまりおすすめできません。
花火写真の撮影におすすめなハーフNDフィルターは?
さて、花火写真の撮影にはどんなハーフNDフィルターを選べば良いのかについてですが、個人的にはリバースタイプの製品が最もおすすめです。
リバースタイプのハーフNDフィルターを使用した際の効果はざっくり以下の通りとなります。
- 副題部分の黒つぶれを防止できる
- 最も白飛びしやすい小型煙火に対して強い減光効果をかけられる
- 打ち上げ花火にも十分に減光効果をかけられる
参考までに僕はNiSi製のReverse GND0.9(GND8)フィルターを使用していますが、花火の白飛びや副題の黒つぶれが原因の失敗が大きく減ったと実感しています。
ちなみに上記の製品は単体では使用できないため、別建ててホルダーとアダプタリングが必要になります。
また、KANIフィルターからは花火撮影に適した角形NDフィルターを含むセット製品が発売されていますので、これからハーフNDフィルターを導入する予定の方は候補として検討するのも手です。
使用しているレンズ(特にねじ込み式フィルターに対応していない広角ズームレンズに多い)によっては、専用のホルダーが必要になる場合があります。
まとめ
本記事では花火写真の撮影にハーフNDフィルターを導入した際の効果と注意点について解説してまいりました。
改めてざっくりまとめると、以下の通りとなります。
- 花火の白飛びを効果的に抑えられる
- 副題の黒つぶれを抑えられる
- 使用できる場面が限定される
- セッティングに慣れが必要
- フィルターが高価
花火写真の撮影で効果的に白飛びを抑えたい方、花火+副題(観覧席、風景など)の構図で撮影される方は、是非ともハーフNDフィルターの導入を検討してみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございますm(__)m